この調査活動は、社会調査やリサーチを「ある種のコミュニケーション」と捉え直す「当事者による当事者のためのリサーチプロジェクト」として実施したものです。大学生のリアルな実態を浮き彫りするために、毎年「白書」「辞書」「図鑑」とアプローチを変えながら、大学生が、大学生に、聞きました。
これは、社会調査やリサーチを「ある種のコミュニケーション」と捉え直す「当事者による当事者のためのリサーチプロジェクト」の第一弾として、文京学院大学の学生たちと一緒につくった『ダイガクセイ白書』です。
世の中にはさまざまな「世代」に関する調査データが溢れています。「最近の若者は…」「バブル世代って…」「団塊世代の特徴は…」など、それらの結果を見ながら「この世代はこうなのね」と私たちは引き出しにラベルを付けて、綺麗に整理整頓していきがちです。若者世代に関しても同様で、「モノを買わない若者」「恋愛をしない若者」「お酒を飲まない若者」など、さまざまな調査機関によってカテゴリー化されています。本調査では、まずそれらの調査に対する若者自身の違和感を整理し、自分たちの実感に近い質問を考えて、友だちに、知らない大学生に、自分たち自身で問いかけました。
これは、「当事者による当事者のためのリサーチプロジェクト」の第二弾として、文京学院大学の学生たちと一緒につくった『ダイガクセイ辞書』です。
本調査は「コトバ」にフォーカスをあてています。普段は、意識することなく使いこなしているはずなのに、改めてその意味を問われると戸惑ったり、似た単語の違いを説明できなかったり、コトバとは実に不可思議なコミュニケーションツールです。だからこそ、そこに一人一人の、もしくは時代ごとの価値観が表れると考えました。第三者だからこそ分かることと、当事者にしか分からないこと。コトバの価値観について、大学生が、大学生に、聞きました。
これは、「当事者による当事者のためのリサーチプロジェクト」の第三弾として、文京学院大学の学生たちと一緒につくった『ダイガクセイ図鑑』です。
本調査は、「目に見えるもの」から大学生の生態系を紐解いてみました。ファッションや常に持ち歩いている物。また、自分の分身であるSNSのプロフィール画像なども調査対象にしています。共通していたことは「他者の視線」。自分自身をどのようにプロデュースするのかという意識は、以前よりも確実に高まっているのではないでしょうか。第三者だからこそ分かることと、当事者にしか分からないこと。大学生が、大学生に、聞きました。
※本調査は、asobot代表の伊藤剛が、文京学院大学人間学部コミュニケーション社会学科『メディアコンテンツ論』の講師に招かれ、その講義内で実施されたものです(2012年度〜2015年度)。そして、「当事者による当事者のためのリサーチプロジェクト」とは、社会調査やリサーチといった、いわゆる「調査」を「ある種のコミュニケーション」と捉え直す活動として始めたもものです。本来、調査というのは「当事者ではない誰か」がリサーチして、分析したものです。つまり、「客観性」が最も大事なこととされています。しかし、定量的なものであれ、定性的なものであれ、調査は「誰か」が「ある誰か」に聞いた行為で、ひとつの「コミュニケーション行為」とも言えます。であれば、調査における回答というものは、「誰に問われたか」によって変わる可能性があるのではないか。そもそも、当事者にしか考えつかない「問い」もあるはず。そのような仮説をもとに、この調査は行われています。
『ダイガクセイ白書』『ダイガクセイ辞書』『ダイガクセイ図鑑』
企画・編集:asobot inc.
デザイン:西村克哉
協力:文京学院大学人間学部